本書は、作曲と演奏の両面で独自のスタイルを築き上げ、現在のジャズ・ギター界を代表するプレイヤーへと成長したKurt Rosenwinkel のオリジナル曲集です。
ここ15年間に発表されたKurt のアルバムから、14曲分のリード・シートを収録し、そのうち最新作のDeep Songから選ばれた7曲では、タブ譜つきのソロ・トランスクリプションも収録されています。
コンポジション、コード・ヴォイシング、インプロヴィゼイションなどにおけるKurt ならではのエッセンスが満載です。Kurt ファンならずとも、コンテンポラリー・ジャズに興味がある、またはビバップ以降のサウンドを研究したいプレイヤー必読の1冊です。
『はじめに』より
本書は、私のオリジナル・コンポジションとソロ・トランスクリプションを集めたものです。ソロ・トランスクリプションは、CD 'Deep Song'から抜粋し、コンポジションは、これまで私が15年間にわたって作曲してきたものの中から選択しました。本書を学ぶことに意義を見いだし、楽しんでもらえることを望んでいます。そしてあなたのグループで、これらの曲を演奏してもらえたらうれしいです。何度も演奏して、多くの発見をしてください!
Kurt Rosenwinkel
Kurt のファンになって、かなりの月日が経ちますが、常にさまざまな角度から彼の音楽を楽しんできました。彼はインプロヴァイザーとして、メロディとハーモニーの両面において、非常に自由かつコントロールされた音楽を創り出し、また与えられたソング・フォーム上でも、すばらしいソロを発展させることができます。そして、そのすばらしい自由さは、彼のコンポジションの中にも見いだすことができるでしょう。インプロヴィゼイションとは、すぐその場で、すばやく音楽をクリエイトすることです。一方、作曲するということは、時間をかけて音楽をクリエイトする方法だといえます。Kurt はどちらの面でも偉大であり、本書はこの両面を表現している格好の1冊といえるでしょう。
本書を十分に活用するために、ここに収録されているリード・シートやソロ・トランスクリプションのレコーディング音源(CD)を手に入れることをおすすめします。楽譜に書かれた音楽からすべてを学ぶことはできません。音楽とはサウンドです。楽譜は単にサウンドを視覚化しただけのものなので、実際に起きている音楽的会話を完全に表現することはできません。
本書のリード・シートは、Kurt が実際にスタジオで使用したものを基に、限りなく忠実に再現しました(一般的ではない表記に関しては注釈を加えてある)。これは真剣に音楽を志しているミュージシャンたちにとって、特に興味深いものとなるでしょう。どのようにひとつのラインが表現され、リズムが巧みに操られ、形成されているのかに注目しましょう。
音楽的に意味を成す数多くの自由というものがあります。レコーディングの際にKurt が各曲で表現したかったことを、グループが彼のリード・シートを通じてどのように理解したかにも留意するとよいでしょう。この点がおそらく、本書を学ぶ過程で最も興味深いことだと思います。
ソロに関しては、トランスクリプションを読めばわかるように、スラーなどを使ったKurt のフレージング、スピード感、リズムなどは、かなりはっきりと書かれています。熱心な読者の方たちに十分な量の楽しみと学習素材を与えてくれることでしょう。私と同じくらい、皆さんにも本書を楽しんでいただけることを心より願っています。
Corey Christiansen編集主幹
掲載曲
アルバムDeep Songからのセレクションとソロ・トランスクリプション
brooklyn sometimes
cake
the cloister
the cross
gesture
synthetics
use of light
Kurt Rosenwinkel作品からのセレクション
《The Next Step》 より
a shifting design
minor bluse
zhivago
path of the heart
《The Enemies of Energy》 より
cubism
《East Coast Love Affair》 より
east coast love affair
《Heartcore》 より
our secret world
Appendix ピアノ・パート
brooklyn sometimes
the cloister
our secret world